認知症の徘徊の対応方法を紹介します。アルツハイマー型認知症のAさん(80代女性)は特別養護老人ホームに入所されて1か月が経ちました。認知症があり徘徊してしまい自宅での介護が厳しいので家人が施設入所を希望して入所されるようになりました。施設に入所しても初日から徘徊が始まりました。
■徘徊とは
徘徊は認知症症状の1つとして現れることがあります。徘徊が始まりますと見守りが必要になり、介護が非常に大変になってしまいます。家でも施設でも絶えず見守るわけにはいかないからです。また、認知症の人は目的があって徘徊している場合が多いので、無理に止めると困惑してしまい不穏になってしまいます。これらのことから徘徊への対応は非常に難しいのです。
今回の例題のAさんは足腰が強いわけではないので転倒のリスクが高くて、見守りが必要です。徘徊をする頻度は毎日で、特に食事後の徘徊が頻回です。そこで、Aさんの徘徊の理由を考えて対処するようにしました。下記に徘徊の対応方法を書いていきます。参考にされると幸いです。
徘徊の対応
徘徊のオーソドックスな対応方法として、職員が一緒に付き添うことが挙げられますが、徘徊を一緒にずっと付き添ってしまいますと職員の負担が増して大変です。職員を変えて徘徊の付き添いをする方法もありますが、少ない職員で介護している施設ですとなかなか対応に困ってしまいます。
徘徊をなくすために、過剰な精神薬を使って抑えることは本人の尊厳を傷つけることになり、また精神薬を飲むことで、ふらつくことがあり転倒リスクが増してしまうのでお勧めはしません。
そこで徘徊の対応としてAさんの趣味や昔にやっていたことを家人に聞いて本人にやってもらうことにしました
趣味と役割をもつこと
Aさんの家人に趣味を聞いたところ、趣味は音楽鑑賞でした。食事後にさっそくAさんの席の前にCDデッキを持っていき、昔聞いていた曲を流しました。音楽を聴いているAさんは表情が和やかで、音楽を聴いていて落ち着いているせいか徘徊する頻度は減りました。
次にAさんは昔から家事をすることが生きがいでしたので、Aさんができることをしてもらうことにしました。洗濯たたみ・テーブル拭き・おぼん拭き・おしぼり絞りなどです。Aさんに家事の役割を与えたことによって没頭して家事をやることで徘徊することが激減しました。また家事をすることによって本人から家事で他にやりたいことの訴えが増えるようになっていきました。家事をすることで本人は生きがいをみつけて施設での生活が充実していきました。
それでも完璧には徘徊がなくなることはありませんでした。徘徊している時は転倒に注意して職員が一緒に付き添いをしたり、見守りして一人で歩行してもらっています。また気分転換に外に散歩に行くことにしています。散歩をしますと運動と気分転換のお陰で落ち着き、徘徊が減ることがあります。
徘徊が少なくなってから職員のストレスも減り、Aさんとのコミュニケーションも増えました。相乗効果で良い介護ができるようになりました。
■まとめ
認知症による徘徊の対応方法を4つ紹介しましたが、まとめると
・趣味を持つこと
・役割を与えること
・散歩をすること
・時間があれば徘徊に付き添う
家での介護の場合、徘徊は非常に大変なので、ケアマネジャーに相談しながら徘徊の対応をすることをお勧めします。
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