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転倒を繰り返す認知症の人への対応事例

 

 この記事は、転倒を繰り返す特別養護老人ホームの認知症入所者への対応事例を紹介します。

 Rさん(78)は、レビー小体型認知症も持つ男性です。入所した当時は、職員が付き添い歩行器使用で歩行されていましたが、6カ月程経つと日常的に歩行器を使用した歩行が出来なくなり、車椅子を使用となりました。

 排泄は、自力では難しく排泄介助をしていましたが、Rさんは、身長も体格も大きく、バランスを崩したとき支えることができないためケアスタッフ2名で介助をしていました。

 また、時々夜間に認知症による幻視がありました。レビー小体型認知症の場合、幻覚が出る可能性は非常に高いです(ほとんどの人に出ます)。夜になると、「蛇がそこにおる」「虫がそこに沢山おった」等と、ナースコールにて呼ばれる事もありました病院受診し、内服薬(精神安定剤と眠剤)が処方されましたが、効いている時とあまり効果がない時とありました。

 入所する前は、デイサービスを利用しながらお嫁さんがお世話をされていましたが、介護負担も大きかった事から入所に至りました。

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転倒を繰り返す入所者

 日中は、リビングにて過ごされる事が多いRさんでしたが、何か用事がある時は、急に車椅子やソファーから立ち上がり、バランスを崩し転倒する事もありました。

 夜間にポータブルトイレで排泄をする時や何か思いたった時は、ナースコールにて呼ばれずにベッドから立ち上がり転倒を繰り返していました。

 夜間スタッフも、注意して巡視を行っていましたが、寝ている時は、「何か用事はありますか」と聞けないし、さらにせっかく入眠しているのに起こすことで転倒のリスクが増えるので、時間を通りの排泄介助以外は、極力起こさないようにしていました。

 Rさんは、用事がある際は、ナースコールにて呼ばれる時もありましたが、ナースコールを押した後に直ぐに行動に移す(立ち上がる)場合があるので、ケアスタッフは、ナースコールが鳴った際は、ダッシュで向かっていました。

転倒を防ぐ為の対応

 Rさんのレビー小体型認知症症状をスタッフやご家族で確認をし、ナースやリハビリ担当者や相談員の専門職の意見もふまえてから、Rさんの今後の転倒の対応策をスタッフ間で統一しました。転倒をして当たり所が悪いと最悪な結果になりますので、緊急に対応を取る必要がありました。

 その結果、日中、Rさんは、急に車椅子やソファーから立ち上がったり、転倒を繰り返していたので、家族の承諾を得てから離床時には、ヘッドギア(クッション性のある頭部サポーター)の着用をすることにしました。

 そして、Rさんは食後によく車椅子やソファーから立ち上がりトイレや自室へ戻ろうとするため転ぶことがあるので、食後にはトイレや自室へ戻られるか聞くことにしました。また、辺りを見回したりする際は、Rさんに話かけて用事はないか聞くようにしました。このような事をする事で、以前より車椅子やソファーからの転倒は、少なくなりました。

 あとは、夜間の転倒です。どうしてもRさんの側にずっといられるわけではないので、カンファレンスを行った結果、センサーマットを使用する事になりました。センサーマットとは、マットの上に乗った時に、ナースコールで呼ぶ仕組みになっていました。そのお陰もあり、夜間の転倒も減ってきたと思います。

 また、「蛇がそこにおる」「虫がそこに沢山おった」等の幻視には、「蛇は、捕まえますから大丈夫ですよ」や「虫を殺しておきますね」等と幻視を絶対に否定しない事を心がけました。否定をすると興奮してしまう可能性があるので、認知症の人の場合、話を合わせることが大切です。

 お嫁さんも週に1回程来られ、精神面でも安心しているように見えました。

今回の事例では全ての対応が上手く行き、やはり職種間の連携は必要であると再認識しました。

[参考記事]
「レビー小体型認知症の症状について詳しく解説します」

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