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認知症による帰宅願望に対しての対応はどうしたらいいのか

 

 今回は一つの事例を通して認知症による帰宅願望が起こる原因とその対応について書いていきます。

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●落ち着いた物腰の男性Sさん

 80代の男性Sさんは3ヶ月前に特別養護老人ホームへ入所されました。認知症の症状が進行したことで、ご家庭での介護が困難になったため入所されています。

 Sさんは物静かな方で昼間はテレビを観たり、自室で静かに外を眺めて過ごされれていました。ご自分から積極的にお話をされる方ではありませんでしたが、スタッフとの関係は良く、お仕事をされていた頃のことなどをにこやかにお話してくれます。トイレやお食事もほとんど自立されていました。

日が暮れると帰宅願望が現れる

 そんなSさんでしたが夕方から夜になると毎日、「自宅に帰りたい」と言います。これは「夕暮れ症候群」「帰宅願望」と呼ばれています。原因は認知症により「今いる場所」「現在の状況」が分からなくなっているからです。これらは見当識障害と言われていますが、認知症の中核症状です(中核症状とは認知症になると誰でも起こりうる症状)。夕方の時間帯は男性であれば会社から家に帰る時間、女性であれば夕食を作るための時間ですので、その長年染みついた習慣に影響を受けてしまうのです。施設では夕方になると慌ただしくなるので、それが引き金になってしまうこともあります。

 Sさんの訴えは入所してすぐに現れました。昼間は「子供は仕事で忙しいから」という言い方もされており、自分がいる場所がどこか分からないながらも、子供に迷惑をかけたくないという気持ちがあったのかもしれません。それゆえ、昼は「帰りたい」という発言はありませんでした。

 日が暮れて外が暗くなってくると、「早くしないとバスがなくなる」「終電に間に合わない」「家族が心配する」と言った内容のことを繰り返しお話されていました。夜間就寝されてからも気になってしまうのか睡眠が浅くなりがちでした。深夜にも何度も起床されスタッフに「家に帰りたい」と希望されることが毎晩のように続いていました。

帰宅願望を否定しない対応

 医療スタッフと対応を協議しました。その結果、無理に睡眠薬等で寝かせてしまうことはせず、スタッフの対応でもう少し様子を見てみようと言う方針に決まりました。

 スタッフはSさんの「帰りたい」という帰宅願望を否定しないような声かけを心がけました。夕方から就寝前の時間なら「ご家族から連絡があって、もう少しここで待っていて欲しいとのことですよ」と声かけしました。深夜の時には「もうバスも電車も終わっちゃったんですよ。明日朝一番で戻られたらどうですか?」と少しずつ変化を付けていました。ここにいなければならない、家にはもう戻れないと言ったニュアンスにならない様に配慮しました。

 以上のように説明してもSさんは数分前のことでも忘れてしまうため、「帰りたい」と同じ発言を何度も繰り返されます。そのたびにスタッフは同じ声かけをしますが、Sさんは、怒ったりぜずに納得してくれます。

 認知症ではなくても「家に帰りたい」というのは自然な気持ちではないでしょうか。「夕暮れ症候群」「帰宅願望」という名前が付いていますが、家に帰りたいという気持ちを「認知症を原因とする症状」として見てしまうとその人に寄り添えない気がします。もちろん、「今いる場所がどこだか分からない」という認知症の症状が原因で家に帰りたいと言っているわけですが、「認知症の症状だから仕方がない」ではなく、普通の人に接するのと同じように「帰りたい」という気持ちに寄り添うべきです

環境の変化は負担が大きい

 その後Sさんの「帰りたい」という帰宅願望は未だに見られていますが、徐々に減少していきました。Sさんの帰宅願望は、入所してから日が浅い時期からだったためご本人の中に混乱が生じてしまったのではないかと推測されました。入所時、ご家族とは1~2ヶ月は面会をご遠慮いただき、施設側から家族にSさんの様子を定期的にお伝えすることになっていました。Sさんを混乱させず施設での生活に慣れていただくための対応でしたが、Sさんにはここがどこだか分からない上に、ご家族と会えず寂しかったのでしょう。

 誰しも環境の変化は大きなストレスになりますが、認知症の方にはそのストレスはさらに大きなものになってしまうのだと改めて認識しました

[参考記事]
「帰宅願望が強い認知症の方に対しての対応事例」

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