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認知症高齢者の失禁に対する解決策。膀胱に溜まっている尿量を測定

 

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トイレの場所を覚えてもらうことから始める

 Yさん(90歳・女性)は小柄な方で裕福な家庭で過ごされていたことからとても上品な方でした。

 しかし、認知症だけではなく緑内障による視力の低下も見られたため、入居してすぐはトイレの場所がわからなくなることがありました。各居室にトイレが付いているタイプなので距離は近いのですが、目が見えないYさんにとってはトイレの場所を探すのも一苦労。

 そこでスタッフたちは居室を訪問するたびに、トイレまでの導線を毎回Yさんと一緒に確認することにしました。手探りでもわかるように、テーブルの位置や手すりの位置、洗面台の位置をスタッフ全員が同じ伝え方をすることで、Yさんもだんだんとトイレまでの行き方を覚えるようになりました。

 認知症の方であっても毎回同じ行動を繰り返すことで新しい情報も記憶することができるのです。

失禁してしまったことからショックを受けてしまう

 Yさんもほぼお一人でトイレに行くことができるようになり、順調かと思っていましたが、ある日スタッフがYさんの居室を訪問するとYさんがベッドで泣いていました。理由を伺うと「おトイレ失敗してしまったの・・・。ほんと恥ずかしいわ。ごめんね、ごめんね。」とショックを受けておられました。

 認知症が進行しているためか、尿意を感じたがトイレの場所がわからなくなってしまい、失禁してしまったとのこと。

 Yさんは上品な方でスタッフにもとても優しい方だったので、自分が失禁することで人様に迷惑をかけてしまうことが申し訳ないと自分を責めてしまったのです。

 それからどこか自信をなくしたかのようなYさん・・・。

 そこでスタッフで失禁に関して何か解決策はないか話し合うことになりました。

排泄時間の分析を行う

 失禁の対応に関して話し合った結果、排泄時間の分析を行い、適切な時間にトイレ誘導を行うことにしました。

その手順として、

①Yさんやご家族にも説明し、Yさんには尿パットを入れさてもらい、毎時間訪問し、パットを確認。

②パットに失禁していればパットの重さを測って尿量を記録。

③その間にご自分でトイレに行かれていることもあるので、尿量を測定する機械を使い、膀胱に溜まっている尿量を毎時間測定。

④水分量に対する尿量を分析するため、水分量も毎回計測して提供する。

⑤その日の気温や状態で尿意が変動することもあるので、これを3日間行い、尿意を感じる間隔や尿量の分析を行う。

 Yさんに説明はしていても認知症の方なので、忘れてパットを捨ててしまったこともありましたが、3日間これを実施することで一日の排尿量や排尿間隔を割り出すことができました。

適切なトイレ誘導を行うことで失禁回数の減少

 Yさんは2時間〜2時間半の間隔で尿意を感じていることがわかり、その結果をケアマネージャーに伝えてケアプランを見直し、Yさんのトイレ誘導の時間を設定しました。

 私たち人間は毎日決まった時間にトイレに行くわけではないのですが、排尿時間や間隔を分析することで、失禁する前にトイレ誘導の声かけをし、未然に防ぐことができました。Yさんも失禁をして自分を責めることがなくなり、以前のように安心して暮らされています。

認知症高齢者の尊厳を傷つけないことが大切

 認知症の場合、自分にとってショックな出来事はきちんと覚えています。Yさんの場合は、幼い頃から周囲に迷惑をかけてはいけないと育てられていたこともあり、自分が失禁をしてしまうことで周りに迷惑をかけてしまうと塞ぎ込んでしまいました。

 介護をする側は認知症高齢者の尊厳を傷つけないようにすることが大切ではないでしょうか。

[参考記事]
「認知症の介護の現実。便の上に座っている父、骨折させられた母」

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