この記事は40代の女性に、「認知症の介護の現実」というテーマで書いていただきました。
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認知症の介護の現実
私は離婚をして、実家に2人の娘と帰ってきました。家族は20年前に母と再婚した義父(76歳)、母(70歳)、私の弟(41歳)、娘長女(15歳)、次女(13歳)そして私(46歳)です。実家は母が女手ひとつで建てた家です。義父は定年後再就職をして71歳で引退をしました。そんな義父が認知症になってしまったのです。
義父の認知症の症状を挙げますと
①仕事を辞めて一年経たないぐらいから、認知症の症状が現れてきて、自分で髭を剃れなくなりました。あれこれ電動シェイバーを触ってはいますが、やり方が分からなくなっています。これは認知症の失行という症状です。
②失禁や便失禁をするようになりました。今はオムツとおねしょパットを着けてますが、間に合わずよく漏らしてしまいます。義父は便が出た意識がなく部屋中汚しますが、本人は臭いが分からないので、便の上にぼーっと座ってたりします。又入浴の際、湯船の中で排便をする為、家族はシャワーしか入れないことが多々あります。
③夜中には徘徊がはじまり、その度探し回ります。いく度となく警察のお世話になりました。認知症による徘徊で行方不明になる人は日本全国で年間1万件以上いて、警察もすごく対応に苦慮しています。警察は夜の犯罪が起きやすい時間帯に認知症の行方不明の対応をしなくてはいけないので、本当に申し訳ない気持ちです。
④最近は母や私に対して暴言、暴力が酷くなって、母はイスを足に振り下ろされ骨を折りました。また、蹴っ飛ばされた際に腰を壁に打ち大怪我をしました。介護職員による暴力は話題になりますが、認知症の人による暴力は話題にならないのが不思議ですが、介護ブログを見ていると結構あります。
⑤「 お金が無くなった。財布を家の誰かが持っていった。」と騒いで、家じゅう探した結果、自分の部屋にあったことが多々あります。でも、「自分はこんなところに財布を置いていない、誰かが隠くした。」と私を疑います。私は身に覚えが無い事で、とても傷つき悲しい思いをしました。 これは認知症による物盗られ妄想ですが、頭では分かってはいても「認知症だからしょうがない」と割り切れる心情にはなりません。
今ではこんな義父になってしまいましたが、昔はとても温和な人でした。母が具合が悪い時は気を使って食事の用意をしてくれるような優しい義父だったのです。認知症は人格までをも変えてしまう恐ろしい病気です。
介護のために仕事を辞めることに
義父が夜に徘徊するために昼夜逆転生活をする日が多くて、私は介護の為会社勤めが出来なくなりました。その為フルでの仕事ではないパートで働くことになりました。時給制なので、休めばお金になりません。
その為家計が圧迫して、貯蓄を切り崩して生活しております。でも、その蓄えもあとわずかとなり、娘たちの進学に必要なお金に困ってます。義父は以前から私達に内緒で蓄えなどを貸金庫に入れて管理しています。でも、本人は絶対私達に渡さない気持ちが強く、前妻との子供たちにだけ譲ると言っていました。これから介護していく上でお金が必要になります。でも認知症が進んで、あるはずだと言っているお金が何処の貸金庫にあるのか全く分からないため困ってます。
この様な状態に家族も疲れ果ててしまい、不安な毎日でした。ある日、役所からの広報案内に認知症の相談コーナーを見つけたので連絡しました。早速、ケアマネジャーの方とお話させていただき、介護認定していただきました。介護施設利用の手続きなど親切に案内いただき、とてもホッとしました。これから施設探しになります。
説明では、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、グループホーム、ショートステイなどがあるとのこと。入居待ちが長い所や、看取りが可か不可などの制約がある中で探さなくてはいけません。
現在、義父は老人施設に入ることを嫌がっているので、どう説明しようか悩んでます。入所できれば食事サービスや入浴、排泄介助などもして頂けるので、普段ゆっくりお風呂に入れてない義父に喜んでもらえるかなと考えてます。また、義父は友達づくりが苦手な人なので、他の入居者の方と上手くやれるか心配です。
そんな心配もケアマネージャーの方が相談に乗っていただきました。早くから相談をしていたら、母も怪我をせずに済んだかもしれません。義父が心休まるいい施設で、私達の経済負担の少ないところを探しています。
[参考記事]
「認知症による物盗られ妄想とはどんな症状なのか」
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