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認知症利用者のデイサービスの一日。酷い対応のデイサービスもある

 

 私はデイサービスで就業しております。大規模な施設ではなく小規模なアットホームな雰囲気がウリ!という施設。お泊りサービスもあり、常に2~4名程の利用者さんがいます。

 年代は60代後半から100歳まで。利用者のほとんどの方が認知症を患っている方です。

 今回は認知症の利用者様と介護スタッフの一日の流れを綴らせていただきます。

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マニュアル通りに行かない!認知症利用者の一日の始まり

 認知症をあまり詳しく勉強してなかった私には予期せぬことが多数起こりました。

 アットホームが売りのデイサービスでしたが、持ち物を管理する部屋やロッカー、下駄箱がありません。ですので、朝、利用者が来たときは上着、履物、かばんを把握必要がありました。一定の時間に多数の利用者さんが訪れるものですからスタッフは瞬時に持ち物を確認し、紙に記入していきます。コツもあるのかもしれませんがなかなか瞬時には難しい。

 時間がなくてきちんと確認していない時には送迎後に利用者さんのご家族から「上着を着ていったはずだが帰宅後着ていなかった」などのクレームもあります。そういう場合には届けに行かなくてはいけませんので、荷物確認を徹底しないと手間がかかります。

 施設に到着すると軽いお茶の時間になり、その後検温したり血圧を測ったりしますが、「急に何をするの」とビックリされてしまうこともあるのでタイミングをみます。

 その後、軽いレクレーションが始まりますが、その一方で利用者さんを順番に入浴させています。入浴を嫌がる認知症の利用者さんもいますが、この時、納得させて入っていただくことは容易ではありません。「さっきお風呂に入ってきたから入らない」とゴネて入浴を嫌がる人も多いです。

 「ではあちらで少しお話しましょう」とか「体重を量りましょうね」や「トイレに行きましょうか」と出来るだけ、お風呂を嫌がらない言い方で入浴を促しました。やっと説得し脱衣させてお風呂へ誘導しても、そこでも一悶着があります。例えば急に頭の中が子供に戻ってしまったのか、「どうして私を裸にするの?お母さん助けて」と叫ぶ認知症利用者さんや入浴中自分の手を食べようとする方、お風呂上りに「これは自分の服ではない!気持ち悪いから着ない 脱がせて」と持参してきた肌着や服を着ない方もおられました。

 介護士さんの中にはカッとくる人もいますが、私の場合は人の行く末ってこんな風に変わってしまうんだとかわいそうな気持ちが生まれ、できるだけ優しく介助に努めています。

昼食時は笑顔あふれる時間!でも注意観察が必要

 昼食の時間になると準備に追われるのですが一日の中で一番スムーズな時間です。認知症であっても食事をするということは楽しみなのでしょう。

 お食事は各トレーにその方に合ったおかゆやご飯、おかず(食べやすくカットした食べ物)を盛り付けます。食事介助が必要な方優先で昼の時間は流れるのですが、その時も自分のおかずを嫌いだったのか満腹なのか隣のテーブルの方へ渡してしまったりするのでよく観察していることが要付けられていました。違う人の食べ物を食べることでの誤飲を防ぐためです。

 利用者さんが歯磨き済ませ、お昼寝の時間に入りますと私たちスタッフは後片付けやおやつの準備、洗濯をしたりする雑用の時間です。大人しく休んでいる人もいるし、昼寝はしないタイプの人は塗り絵や軽い計算ドリル、折り紙などをするというスタイルです。時には認知症の利用者さんはお昼寝の時間他の利用者さんの荷物をいじりだしたり、施設内を徘徊したり、ポータブルトイレの汚物で遊ぶなど色々なことが起きます。でも利用者さんは認知症ですから許せることです。

午後の部スタート!レクリエーションそして送迎まで

 午後の部スタートですが、その日の利用者さんに合ったレクリエーションを考えます。せっかくの通所ですから楽しく実りのある日にしてほしいとスタッフは考えています。例えば軽い手足を動かす遊びや歌を歌ったりして過ごします。

 15:00くらいになりますとおやつの時間です。昼食もそうですが食べる時は皆さんゆったりと過ごします。

 その後は各自したいことをします。折り紙だったり計算ドリル、塗り絵、おしゃべりも盛んです。やはり何度も同じ話を繰り返す人も多かったですが、お話の内容が個人個人特徴的だったのでおしゃべりは私の場合利用者さんをよりよく知るための時間です。

 そして16:00くらいになりますと帰りの送迎の時間になります。朝のように持ち物や履物、上着の間違いはないか注意を払います。送迎車に乗せ、さようならの挨拶をする時は一番笑顔です。自宅で家族の元に帰るのが嬉しいようです。帰りたくないとゴネる人はあまり見受けられません。

私が勤務するデイサービス施設長への疑問

 便を弄ったり、見ていてショッキングな事はありましたが大きな事故はありません。しかしどうしてもこの様な対処しかないの?と思うシーンは度々あります。

 一例を挙げてみます。立つ事の出来ない認知症の利用者さんがいて、施設では車椅子で過ごしていました。しかし、急に帰りたくなってしまい、暫く騒いでいました。こういう時はスタッフが車椅子を引いて施設内を散歩するのですが、それでもダメな時には施設長はその方を別室に一人置いて放っておきます。

 誰かしら気になって声をかけに行くのですが疲れたら寝るから大丈夫と施設長は言われるのです。私は認知症の知識も対処法も勉強不足ですので言われるがままで何もできなかったのですが、放置すると言う行為に心を痛めました。

介護職で良かったと疲れが吹き飛ぶ瞬間

 デイサービスの利用者さんはいつでも異常な行動をするわけではありません。排泄介助や何かを手伝えば「ありがとう」の言葉が返ってきますし、帰宅される時は「楽しかったよまた来るね」など笑顔があふれる時もあります。私にとってそれは疲れが吹き飛ぶ瞬間でした。

 利用者さんは皆さん高齢ですので、その日が永遠の別れになることもあります。その度に施設スタッフが手薄でなかったらもっとサポートできていたのではないかと思ってしまいます。もっとお一人お一人とコミュニケーションを取りたかったと感じます。

 私のいるデイサービス施設はとにかく人が入っては退社する、半年も長く勤める方がいない施設です。休憩時間は与えてもらえず、食事介助しながら自分も食事をします。そんな介護施設ですので自分の親が利用する時はよく事業者を調べようと思っています。

 高齢になり認知症も進むと毎日の生活が普通に進みません。ですが今まで長年生きている事に尊敬をし、自分の親に接するように介護をすることを心がけています。

[参考記事]
「認知症の人は入浴などのデイサービスに慣れるまでが大変」

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