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認知症高齢者のセクハラ行為への対応。女性職員の胸を触ろうと

 

 今回は認知症高齢者のセクハラ行為への対応についてお話します。

 デイサービスに週2回通っているTさん(87歳・男性)。Tさんはいつも発言こそ少ないが、いつもニコニコしてとても穏やかな方。時々、ボソッと面白いことを言ったりするので、職員からも人気でした。

 いつものようにデイサービスを利用されているTさんでしたが、ここ最近は認知症かもしれないと疑われることがしばしば・・・。

 他の利用者のカバンを自分のカバンと思い込んで持って帰ろうとしたり、他の利用者の靴を履き間違えていたりと、認知機能の衰え?とも取れるような行動が目立つようになりました。

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女性職員へのセクハラ行為

 ある日、Tさんが体調悪くて一人でトイレに行くのがしんどいから介助してほしいと依頼がありました。普段はお一人でトイレに行かれるTさんでしたが、頼まれた女性職員も本当に体調が良くないのかもしれないとトイレ介助をすることにしました。

 Tさんをトイレまでお連れしたあと、女性職員が「トイレの前で待っているので終わったら声かけてくださいね。」と伝えると、Tさんはトイレのドアも閉めず、突然女性職員の胸を触ろうとしました。

 女性職員はびっくりしてTさんの手を払いのけてしまいましたが、そうすると今度はズボンのチャックを下ろして陰部を見せつけ、笑いながら卑猥な言葉を女性職員対して言ったそうです。

Tさんのことを想って報告すべきか悩んでいた女性職員

 その日はそれからTさんがそうしたセクハラ行為をする様子もなく、普段と変わったところは見られませんでした。

 女性職員は介護職の経験が浅かったため、こういった場合にどう対応すべきかわからず、上司に報告すべきか悩んでいました。もし自分が上司に報告したらそれが家族やケアマネジャーに連絡がいき、もしかしてここのデイサービスに来られなくなるのではないかと・・・。

 そのことを同僚に相談したのですが、それは今後のTさんのためにもきちんと報告すべきだとアドバイスを受け、上司に報告しました。

家族とケアマネージャーにも報告

 上司からその日のうちに、ご家族とケアマネージャーに報告しましたが、これまでそういったことはなかったので大変驚かれていました。まずは今後もセクハラ行為が続くかどうか、しばらくは様子を見ることに。

 それからセクハラ行為は見られませんでしたが、やはり他人の物を間違えて持って帰ろうとして、周りの利用者からは泥棒扱いされることが時々ありました。

 ご自宅でも時々ご飯を食べたかどうか忘れてしまうことがあり、認知症が進行しているのではないかと家族が心配し病院で受診したそうです。

 その結果、やはり認知症の疑いがあるとのことで、治療が開始されることになりました。

認知症高齢者のセクハラ行為に関するまとめ

 一般企業での上司からのセクハラ問題など未だになくなりませんが、認知症高齢者からのセクハラ被害に悩む女性ヘルパーも増加しています。

 しかし、認知症高齢者からセクハラ行為を受けた場合、すぐに「セクハラ!!」と騒ぎ立てずにまずはスタッフや上司に相談。そこからケアマネージャーやご家族にも報告しましょう。

 今回のように、自分が報告することでTさんに対してマイナスになるのではと思う職員もいますが、それは間違いです。今回、女性職員は報告するか悩んでいましたが、報告したことでケアマネジャーやご家族も動いてくださり、認知症外来に受診することにつながりました。やはりまずは一人で悩まずに、報告・相談が必須です。

[参考記事]
「認知症の施設利用者からお尻を触られるセクハラに対する対応」

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