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利用者情報の管理がずさんなデイサービスで起こった事故

 

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新規開設のデイサービスはいつでもドタバタ?

 近所の病院にデイサービスが併設され、私はそのデイサービスのパートとして働いていました。新規開設という事で最初はなかなか利用者さんが集まらなかったのですが、1,2カ月もすれば毎日15~20人の利用者さんでフロアが埋まりました。

 リハビリ特化型のデイサービスだったので、病院の整形外科からの紹介で、リハビリ目的の利用者の方がわんさか集まっていました。私たちパートは主にフロア対応や入浴介助に明け暮れる毎日。急に1日につき3人・4人と利用者が増えていく週もあるなどし、とても大変でした。

利用者の情報はどこ?失禁の原因は情報不足から

 病院系列のデイサービスですので、病院との連携もばっちりだと思っていたのですが、利用者の皆さんの介護計画やサマリーの管理はずさんでした。介護主任は入浴や送迎、病院との連絡、備品の管理など多重タスクに縛られており、なかなかつかまらない状態。そんな中フロアである事故が起こりました。

 その日初めてデイサービスにやってきた80歳女性Kさんは、軽度の認知症を患っていました。家族さんとの体験利用でうちのデイサービスが気に入り、リハビリと入浴、食事もうちで食べることに。歩行訓練がメインで、杖でもっと安定した歩行ができるようになるのが目標です。介護計画書などの情報は無く、送迎前にそういった情報を言葉だけで知らされました。

 しかしどうも、体験の時はそうは思わなかったのですが、ある日送迎車に乗車した時からKさんは臭いました。尿臭です。服の感じだとリハビリパンツを履いていない様子でした。しかしその日Kさんはデイサービスのフロアで椅子から立ち上がった際、多量に尿失禁してしまったのです。

Kさんの情報を聞いてびっくり

 Kさんの尿量は結構多く、ズボンの裾から染み出て、床も椅子もびちゃびちゃ。隣に座っていた要支援の女性など「ギャッ」といい、Kさんから離れました。臭いで分かったのでしょう。リハビリメインの方は結構自立度が高いので、「なんだなんだ」と見に来ました。「大丈夫ですよ。」と笑顔で対応しつつも、入浴介助を始めようとしていたもう1人のパートを急いで呼んできて、私はそのまま1番風呂にKさんを誘導。

 とにかく椅子と床の清掃と消毒。滑らないことを確認し、雑巾とバケツを片づけるついでにKさんの様子を見に行きました。Kさんは風呂場の中に居ましたが介助にあたった人に聞くと「悲しそうに見えた。」と話していました。

 その日は入浴後・食後・水分補給のあと・帰宅前の4回、Kさんをトイレ誘導。Kさんはおとなしいタイプですので何も言いませんでしたが、本当にこのままで良いのかと職員間では不安が残りました。

 業務終了後、その日のうちに介護主任に確認をしてもらい、結果を聞いてびっくり。Kさんは糖尿病と軽度の認知症に加え、排泄の自立があやふやであること。さらに頻回ではないものの夜間に転倒したことがあるという情報でした。また家族とは離れて暮らしており、近所の方の助けと訪問介護の利用でなんとか独居をしているのだとか。

 どうしてそんな大切な情報が抜けていたのか。今思えば、早く1人でも多く利用者を増やして、利潤をあげたかった病院のせいで、情報管理とデイサービスとの連絡・連携が追い付かず、このような事態につながったように思います。

皆のうっぷんが爆発

 Kさんの情報が明らかになってから、皆のうっぷんが爆発して、まずは作業療法士の男の子が怒って言いました。

「夜間に転倒している可能性があるなら確認をしてからしかリハは出来ないですよ」

 次は看護師

「糖尿病が重度でなくてよかったけど本当に今日食べたお弁当で大丈夫だったのかしら」

 介護主任まで

「自分も手いっぱいで利用者情報の抜けに気づいていなかった。体験で一緒に来ていた人が、Kさんの状況をよく知らない遠くに住んでる息子だったなんて知らなかった」

 パート含む介護職員だって

「糖尿病で利尿剤使ってて多量失禁あるのにリハパンを履かない理由が分からない。排泄自立に向かうのか、検討中なのか何なのか知りたい。あと本人がかわいそう。」

 とにかくその日は主任を囲ってグチ大会。翌日、偶然Kさん担当のケアマネがデイサービズに来たため主任と話し合ってもらいました。

 以降Kさんにはデイサービスへ送ってもらうためのヘルパーさんがつき、リハビリパンツ着用や夜間転倒の有無の確認が為され、送迎のデイサービズ職員とヘルパーさんとの間で、毎回きちんと状況確認の申し送りが行われることになりました。

 その後もたまに利尿剤のせいで急にトイレに行きたくなったり間に合わないこともありましたが、以前のような失禁は起こりませんでした。何より周囲の女性利用者さんがKさんに「あんた、そろそろトイレ行っといたほうがエエですよ!」と元気に背中を押してくれ、Kさんの表情も明るくなっていったのでした。

[参考記事]
「デイサービスで不穏になる認知症利用者の対応事例」

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