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デイサービスで不穏になる認知症利用者の対応事例

 

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デイサービスでの認知症利用者の対応事例

 私はデイサービスセンターに勤めています。介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などが近くに集まっている複合施設の中のデイサービスです。Tさんはサービス付き高齢者住宅に入居していて、私たちデイサービスの職員が毎朝居室まで迎えに行き、デイサービスで入浴をしたりレクリエーションをしたり、機能訓練をしたりしています。

 Tさんは認知症を持っていて、男性職員を息子と間違えて呼んだり、施設内を徘徊したり、デイサービスから出ようと車椅子を自走したりしていました。機嫌のいい時はすごくにこやかに職員にも話しかけてくれるかわいいおばあさんでした。

 テレビの番組で遺産相続などの話をしていると「私の相続はどうなっているんだい」と不穏状態になり、「息子のとこに行かなきゃいけないんだよ」を車椅子を自走し始めます。そしてある日、ついに部屋にあった医療用液体を大量に飲んで救急車で運ばれて行きました。Tさんはそれほどまでに追い詰められていたのです。病院では胃の中を洗浄して命に別状はなかったのですが、職員で話し合って対応を協議しました。

Tさんへの対応の変化とその結果

 介護の現場は人手不足で限られた人数で回しているため、あまり余裕はないのですが、手の空いた職員はTさんの話をゆっくり聞こうということになりました。それまでは業務で忙しすぎてTさんの訴えをあまり聞いてこなかったと職員間で反省をしました。

 今までは自走を頻繁にするのでホールの出入り口から遠いところに席を用意したりしていました。反省を踏まえてからはデイサービスの飲み物を提供するカウンター付近に席を移動して、職員と話しやすい雰囲気にしました。また仲のいい利用者さんを把握して、席を隣にしたりレクリエーションでも隣同士にして会話が弾むようにしました。また、疲れてくると不穏状態になりやすかったので昼食後は静養室で30分〜1時間ほど休む時間を作りました。

 このようにTさんへの関わりを変えたり、過ごしやすい環境を整えることでTさんの不穏状態も少しずつ改善していきました。それでも認知症なので被害妄想であったり、自走したり徘徊したりはありますが、職員に昔の楽しかった出来事や自慢の息子の話を嬉しそうに話してくれるようになりました。

他部署との連携

 先ほどの書きましたが、私たちのデイサービスは複合施設の中の1つです。ですので他部署との連携も大切になってきます。Tさんが入居しているサービス付き高齢者住宅に迎えに行くときに、そのフロアの担当職員に今日の様子を伺い、常に心身の状態を把握するようにしました。話を聞いていると家族の面会がほとんどなかったり、今日は食欲がなく朝食をこれだけ残しましたなどの情報を得ることができました。そのような情報を知っていたほうがTさんの状態を正確に把握し、よりより介護ができます。

 Tさんはデイサービスに行きたくないという日があります。そういう時でも以前はデイサービスにある意味無理矢理でも連れて行っていたのですが、不穏状態で連れてきても自走したり職員を引っかいたり入浴を拒否したりと荒れている状態になりました。そこでフロアの担当職員や役職と協議して、Tさんがデイサービスに行きたくない時には無理して連れていかないという決まりになりました。

 そうかと言って毎回行きたくないから行かないとなると入浴や機能訓練ができません。さらに、部屋で寝てばかりいると認知症がどんどん進み、廃用症候群にもなってしまいます。ですので、デイサービスに行きたいと思えるように職員は前向きな声かけを心がけ、少しでも楽しんでもらえるようにレクリエーションに力を入れたり、入浴もゆっくり入っていられるようにしたりと改善していきました。

まとめ

 様々な認知症利用者さんがいますがTさんのことを大変と思うのではなく、これをチャンスと捉えてさらに利用者さんにとって過ごしやすいデイサービスを築いていけるのだと勉強になりました。また職員の介護の質の向上もしていかないといけないと改めて思いました。

[参考記事]
「デイサービスを利用する認知症の人が不穏になる時間は14時」

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