広告

Read Article

脳血管性認知症の症状と特徴について

 

 この記事では脳血管性認知症の症状と特徴について書いていきます。

 脳血管性認知症とは脳血管障害の発症に伴って起こる認知症のことを言います。脳血管性障害とは動脈硬化や高血圧症などに伴い、脳の血管が詰る脳梗塞、脳の血管が切れる脳出血など、脳の血管が障害を受けることで起こる病気の総称です。

 脳の血管が詰ったり切れたりすることで、その先の脳細胞に酸素を送れなくなったり、出血により血液の塊が脳を圧迫してしまい、脳細胞が壊れてしまうことで脳に後遺症が残ります。これが脳血管性認知症を引き起こすわけです。脳血管性認知症は男性に多く見受けられます。これは、脳血管障害の発症率が女性に比べて、男性が1.5倍ほど多いためです。

 また、脳血管性認知症はアルツハイマー型認知症と合併していることが多いです。混合型認知症と呼ばれていますが、これを見分けられる医師が少ないことに加え、その治療は難しくなります。アルツハイマー型認知症の場合にはアリセプトなどの治療薬がありますが、脳血管性認知症は特定の治療薬は今のところありません。アリセプトには脳血管障害の副作用もあり、脳血管性認知症の患者には安易に使用することはできません。

広告

特徴 

 脳血管性認知症の大きな特徴は「まだら認知症」と呼ばれていることです。例えば物忘れはあるが判断能力は維持できていたり、1日の中でもしっかりしている時とそうでない時など、症状に偏り(まだら)が見られます。これは、壊れてしまっている細胞と正常な細胞が混在していることが要因の一つです。

 また、脳梗塞や脳出血の再発に伴い、認知機能が急激に悪化する場合があります。再発率は、1年以内であれば10人に1人、10年以内であれば2人に1人と言われています。

症状 

①物忘れが顕著に現れ、判断力・理解力は比較的維持されているなどと症状に偏りがあります。これは脳梗塞などにより損傷を受けた部位により変わります。

②感情の起伏が激しく、急に怒り出したりする場合があります。これは本人本来の性格でなく、脳の障害が原因ですので、必要以上に責めたりしないようにしてください。

③意欲の低下が見られたり、ぼーっとしたりすることがあります。鬱的な症状と似ています。

④理解力が維持されている場合に、物忘れが酷くなった、認知症だと自覚する場合があります。

⑤脳梗塞などが原因で起きているので、体が半分動かないなど身体的に何かしらの問題を抱えています。

治療と予防 

 脳血管性認知症の治療は脳梗塞や脳出血の再発を予防することが中心になります。脳が損傷したら、傷が治るようには元に戻ることはありません。ですので、脳血管障害の原因となりやすい、高血圧症・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病などの治療を行い、再発を防止することが重要になります。

 また、多くの場合は脳血管障害を発症した際に、片麻痺などの運動機能障害を併発しており、身の回りの事や日常の生活に支障をきたします。これらは、発症前のライフスタイルを大きく変え、引きこもりや寝たきりを引き起こしてしまい、認知症の症状の悪化を促してしまいます。これらを予防するためには、早期からリハビリを行い、心身とも活性化する必要があります。

高次脳機能障害と認知症

 高次脳機能障害とは、交通事故などによる脳の損傷により起こる病気で、主として大脳皮質連合野と呼ばれる部分に損傷が起こり生じます。大脳皮質連合野とは簡単に言うと、脳にある情報処理センターであり、いくつかの部位に分かれ、知覚・記憶・学習・思考・判断・感情などの高次な機能をつかさどっています。症状は認知症と同じで、記憶障害、失認、失語、失行などがあります。ですので、高次脳機能障害と認知症は特徴に類似点が多いです。

 高次脳機能障害は、「学問的」な捉え方と「行政的」な捉え方があり、それらが混在しており、医療や福祉の現場でも理解が非常に難しい病気です。「学問的」には認知症と高次脳機能障害は同じとみる場合が多いですが、「行政的」には高次脳機能障害と認知症は別とみます。つまり、病院では「脳血管性認知症=高次脳機能障害」、行政では「脳血管性認知症≠高次脳機能障害」と定義される為、一般の方にとっても非常に理解しにくい状況です。

 このように類似点が多い2つの病気ですが、大きな違いもあります。認知症と高次脳機能障害は脳の損傷が原因で起こりますが、2つの大きな違いは認知症は進行性の病気であるのに対して、高次脳機能障害は進行性の病気ではないことです。

脳血管性認知症のポイント

①脳血管性認知症は、脳血管障害に伴う認知症です
②特徴は女性に比べて男性に多くみられること
③症状に偏りやばらつきがあります
④治療は脳血管障害の原因となる基礎疾患の治療と再発予防、リハビリによる心身機能の向上です
⑤アルツハイマー型認知症が混在する混合型認知症であることが多いです
⑥高次脳機能障害と症状が被る。

[参考記事]
「アルツハイマー型認知症の症状と特徴について」

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top