広告

Read Article

[認知症介護] 原因不明だった不眠の理由はベッドだった事例

 

 Dさん(女性)アルツハイマー型認知症を患い、一人での生活は難しいとの事で、娘さんと同居していました。在宅で介護サービスを利用しながら生活をしていたのですが、認知症の症状が徐々に悪化し、会話も成り立たないようになってしまいました。

 自宅ではどうしても一人で過ごす時間も出てきてしまう為、介護付き有料老人ホームに入居となりました。

広告

会話が成り立たない状態での介護

 Dさんは昔骨折した影響で、歩行が難しい状態でした。歩行器などを使用すれば歩行も可能だろうという事でしたが、認知症がかなり重くなっている為断念し、車いす中心の生活となっていました。

 やはり会話は成り立たない状態でしたが、お茶や食事等を提供すれば自身で飲む事が出来るし、食べる事も問題ありませんでした。

 問題な点としては、夜間は不眠で、ベッドから降りて歩こうとされる事でした。認知症の周辺症状でもある不眠・徘徊・昼夜逆転が顕著に見られる方で、歩行が難しい状況にも関わらず、無理やりベッドから降りて歩行しようとされる為、目が離せない状況です。転倒して骨折してしまうなんて事が一番の問題ですから。

 しかし、なぜ不眠になっているのかは原因不明でした。

対応策は

 夜間帯は他の居室に入居している方の排泄等で巡回しなければなりませんから、ずっとDさんについているのは難しい為、ベッドセンサーを利用して対応しました。

 その為起き上がる事に関しては把握が出来るようになったのですが、その頻度があまりにも多く、対応が非常に難しい状況でした。

 掛かりつけの医師に相談し、夜間帯にしっかり眠れるよう眠剤等を処方してもらいましたがあまり効き目がありません。

不眠の理由について

 認知症の方でも、ある程度会話が出来る方なんかは本人が何を目的で起き上がるのかが分かるのですが、Dさんは会話が成り立たない為、原因の解明に苦しみました。ベッド上に起き上がっているDさんに「どうしたいのか」と聞いた所で何の返答も帰ってこないのですから。

 トイレに行きたいのかもしれないと、排泄状況を3日間データに残して確認しましたが、トイレが原因でもありませんでした。

 また、スタッフがベッドに横になるように促し介助をすると、すごく嫌そうな顔をしているのでした。

家族に相談し、情報の再確認を行う

 スタッフ間で話し合いを繰り返しても、どうも解決できません。そこでスタッフは家族ともう一度自宅での過ごし方等を再確認してみようという結論に至りました。

 日にちを決めて、ケアマネジャー・担当スタッフと再度聞き取りを行ったのです。今までの病歴や、自宅でのタイムスケジュール。好きな物や趣味などの確認をしていきます。

 自宅では不眠で夜起きる事はほとんどなかったと言われたので、まだ環境に慣れていないだけなのかもしれないと、話し合いは終わったのです。

 話し合いが終わり、家族が帰ろうとしたときでした。

「母はベッドで寝たことないから寝づらいのかしらね」

たわいもない一言が解決に

 その言葉を聞いたスタッフは「もしかしたらベッドが原因かも」と、家族から同意をもらいすぐに実行してみる事にしました。

 部屋にあるベッドは撤去して、フローリングにゴザを敷き、マットレスの上に敷布団を置きました。そのまま就寝時間になり、車いすから介助にて布団に横になってもらいました。すると起き上がろうとする事はなく、朝までしっかり休まれたのです。

 私は、居室のベッドで休んでもらう事は当たり前の事で、それを嫌がる人なんていないと思っていました。しかしこの経験で、自宅での過ごし方や、家族との会話の中で初めて気づく事があるという事を学びました。

[参考記事]
「昼夜逆転して徘徊している認知症の人への対応」

URL :
TRACKBACK URL :

Leave a comment

*
*
* (公開されません)

Return Top