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認知症による幻覚と錯覚はどんな症状か。その対応方法とは

 

 認知症の症状のひとつに幻覚があります。幻覚とは簡単に言うと、実際は存在していないものを感じて認識してしまうことです。幻覚は五感すべてに発生する可能性があるものです。存在していない人や物が見えてしまう幻視。鳴っていない音が聞こえる幻聴。触られていないのに触られたと感じる幻触。これらが代表的な症状でしょうか。

 幻覚とは別に、錯覚があります。錯覚とは実際にそこにあるものを別の物と認識してしまうことです。簡単に言う見間違えです。部屋の壁のキズやシミが虫に見えたり、電気コードなど細長いものを見て蛇だと認識してしまったりします。

 特にレビー小体型認知症ではこの幻覚や錯覚の症状が発生することが多いです。

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幻覚は認知症ではなくても起こります

 幻覚と錯覚は認知症の症状のひとつですが、認知症の方のみに発生する症状というワケでもありません。

 例えば、携帯電話の着信音が鳴ったので急いで確認してみたら実際には何も鳴っていなかったりなんてことはありませんか?これも幻聴のひとつにあたり、多くの人に経験があることだと思います。ちなみに私はこの携帯の着信音の幻聴体験がけっこう多いです。

 また、携帯電話をマナーモードにすると、振動で着信などを知らせてくれますよね。携帯電話をポケットに入れていて、振動したと思ったら何も着信がなかったというような幻触が頻繁にあります。

 この幻覚は誰かから着信がきたと思う嬉しさから一転、とても寂しい気持ちになってしまうので個人的には好きではないです。

 私がそうであるように、幻覚と錯覚は誰にでも起こるということです。

 認知症の方は脳機能に障害が発生しているので、その頻度が健常者より多いというだけです。それを理解すると、認知症の方への対応も少しは変わってくるのではないでしょうか。

認知症の方の幻覚と錯覚の具体例

 実際に認知症の方に多く現れる症状は、実際にはいない人が見える幻視が多いようです。知らない子どもが見えていたり、もしくはすでに亡くなっているご家族の方が見えていたりなどです。

 存在しないはずのものに怯えていたり、誰もいないはずなのに話しかけていたりする認知症の方と接したことはありませんか?そのような状況があれば、幻覚症状が出ていると考えていいかもしれません。

 また、何もないはずなのに壁を叩こうとしたり、殺虫剤を吹きかけようとする方もいます。そのような方は、壁の模様やシミが虫などに見える錯覚症状が出ている状況です。

 何度も言うように幻覚と錯覚は認知症の方に特有のものではありません。しかし、認知症の方は脳機能に障害があるため、その頻度が多く、さらにその謝った認識を訂正することが困難な状況にあります。

認知症の方の幻覚と錯覚の対応方法

 実際に幻覚や錯覚の症状がある認知症の方と接した場合、どのように対応すればよいのかというと、一番大事なのは「頭ごなしに否定しない」ことです。

 例えば、知らない人や不審な人が実際はいなのに「見える」という場合には、一緒にその場所を確認しにいったり、介護者が「私があの人に近寄らないように言ってきますね」と話を合わせます。虫が見えるという場合には、その場所に殺虫剤(消臭剤などで代用してもいいです)を吹きかけるなど、否定するのではなく、一緒に対応するようにしましょう。そうすると本人の不安感が消え、症状の安定に繋がります。

 また、家の壁のキズやシミなどを消して(または隠し)、錯覚が発生しにくい環境を整えることも有効です。幻視の場合はやはり暗いところに人が見えたりするケースも多いので、部屋をなるべく明るくすることも検討する必要があるでしょう。

「否定しない」のは大変!

 認知症の方と接するにあたって、認知症の症状をきちんと理解し、本人の行動を頭ごなしに否定しないことはとても大切です。

 しかし、常時介護をしている家族にとって「否定しない」というのはなかなか大変なことも事実です。頭では理解しているつもりでも、毎日幻覚などの認知症状が現れたら対応は大変です。

 介護を頑張って続けた結果、介護者も共倒れになってしまっては元も子もありません。そうならないように必要に応じて適切な介護保険サービスを利用するように心がけましょう。認知症に特化したデイサービスもありますし、ショートステイなどを利用して、休息の時間を確保することも必要かもしれません。

 今後、認知症の方は増え続けていくことが予想されています。介護者が認知症に対する正しい理解を持ちつつ、上手く介護保険サービスを利用しながら認知症の人と接するのが良い介護です。

[参考記事]
「認知症とうつ病を抱える人の幻覚(坊さんが見える)への対応」

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