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認知症の人の心配ごとと不安にどのように向き合うべきかを考える

 

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まず最初に認知症ケアとは、、、、

 世間では認知症関連の資格が多くあります。知識を身につける事はいい事なので、勉強しても損はありませんが、学んだ知識が現場で役立てなければ意味がありません。

 私が17年介護をしていて思う認知症介護とは
「介護する側が気を長く持つこと」
「相手の気持ちを理解する」
「家族の背景を理解する」
「チームでケアをする」です。

 上記の事は介護をする上での大前提ですが、その上で私が大切にしている事は「いい意味で諦める」という事です

 この「いい意味で諦める」とはどういう意味なのかを説明します。

 介護施設で働いていると、1日の流れがあります。簡単に説明すると 朝起きて→モーニングケア→朝食→排泄誘導….この様な感じで1日の流れがあります。全てが予定通りに業務が進むわけではありませんが、ある程度はこの1日の予定に沿って1日の業務を進めます。

 この通常の予定の業務が予定通り行かず、様々な事が重なり、業務が押すとイライラしてしまうという事が起きてしまいます。例えば排便の失禁があって着ている服全てを交換することや、認知症の方が何度も何度も同じ事を繰り返して言うことで、業務に遅れが生じます。この時、頭では仕方がないことだと理解していても、介護者も人間だからイライラします。そして時間内に終わらない事に焦り出します。

 そこで私は気持ちを切り替えて、「少々遅れてもゆっくりやろう」と思うようにしています。理由は入居者の安全のことがあるからです。時間内に終わらないかもしれないという焦りがイライラになり、その状態で仕事を行うと事故を起こしやすくなります。

 そんな時だからこそ、焦らず、ゆっくり仕事をする。認知症介護はまずは介護者自身が気を長く持つ事が大切。自分自身に余裕が持ててはじめて、相手の気持ちが理解できると私は思います。

というのが私の考えで、これを元として体験談を書きます。

毎日夜になると同じ訴えをしてくる利用者様

 80代後半の女性の利用者様がいました。病名はアルツハイマー型認知症。

 決まって夜、22時~0時までの間に何度も何度も起きてこられます。詰所に来られ、毎日同じ事を訴えます。

 「息子がおらんどこに行った??」

同じ訴えの内容について家族構成を理解する

 最初の頃はどうてこんなに息子の事を心配するのだろうと思いました。この方の家族に詳細を聞くと、息子様が障害のある方で、昔から凄く心配していたとの事でした。息子は1人では生きていけないと思う気持ち。子を心配する親心だと思います。不安で仕方がなく、寝ていられないのです。

この訴えに対しての対応はどうするか?

 この訴えに対しての対応はどうするか?の答えは簡単です。「この人は認知症だから」という先入観なしに考えてみて下さい。

 普通に生活をしていて、例えば、障害を持つお子さんを育てている友人が「息子がおらんどこに行った??」と同じ事を訴えてきたらどうしますか?

 通常は「いつまでいたの?最近の様子はどうだった?いつもと違う様子はなかった?」などを聞きませんか?

 友人が子供がいなくなったことで泣きじゃくっていたらどうしますか?「いったん落ち着かせて、まずは座らせて、ゆっくり話を聞く」この様な対応をしますよね。

 認知症の人は自身が認知症という事を分からない人もいます。自分は普通だと思って訴えにやってきます。だから上記の様に一緒に考えて悩んであげて、どうすればいいのかの答えを出してあげる。それでいいんです。

 ただ認知症なのでこの訴えが毎日あります。この時の介護者の気持ちがいかに余裕があるかが大切です。「また同じことを言ってるな」と思いながら、いい加減な対応をすれば、何度も、何度も訴えてきます。そうすると介護者も余裕がなくなりイライラします。

 1度、焦るのをやめてゆっくりじっくり対応してみて下さい。ただしゆっくりじっくり対応しても必ず収まるわけではありません。それでもいい加減に対応するよりは必ず利用者様は落ち着かれ安心されます。

 一度考えてみて下さい。毎晩、子供がいなくなったと思って夜に起きるこの利用者の気持ちを、、、自分に置き換えて考えてみて下さい。毎日、毎日、子供がいなくなってしまったと思い起きてくる気持ちを、、、焦らず冷静に考えると、本人は毎日が本当に辛いと思いませんか?

 一端は落ち着いても、すぐにまた子供のことが心配になってしまうかもしれない。でも不安になって訴えてきたこの瞬間だけでも話を聞いて、その不安を取り除いてあげたいと思っています。認知症介護とはそういうものだと私は考えます。

[参考記事]
「認知症による強い不安感にどう向き合うか。尊厳ある介護を考える」

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