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認知症と統合失調症により妄想が現れている人への食事支援

 

 アルツハイマー型認知症と統合失調症の合併症を持つCさんへの対応体験です。アルツハイマー型認知症・統合失調症共に、妄想の症状が見られます。Cさんも妄想の症状がありました。

 今回はそんなCさんの食事支援について書いていきたいとと思います。

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Cさんの人物像と日常生活

 Cさんは94歳になる女性で、2度の結婚経験があり、もともと雑貨屋を営む家庭に生まれました。当時家政婦もいたらしいので、相当裕福な家庭だったと思われます。7年前までご家族と生活していましたが、夜中階段から転倒骨折した事がきっかけで、グループホームに入居されました。

 入居した当初は自立歩行されており、食事も自力で食べる事ができました。ただ時代劇の番組を見ていると世界に入り込んでしまうのです。例えば時代劇なら、その主人公になりきってしまい、その時代に生きていると妄想をしてしまいます。

 また、昔商売をされた時の記憶を基に他の入居者さんの所有物を「それは、私の品物ですよ!返しなさい!」という事があります。

 本人が思い込んでいる年齢も、その日その時によって変わります。20歳の時もあれば、40歳、60歳、90歳と変わります。

 年齢や生きている時代が毎日変わったりするので、対応がすごく困難でした。そんな中で転倒、食事摂らない、服薬拒否等見られました。

 また、グループホーム入居前から、入れ歯を嫌がり歯茎で食事されてます。むせが見られるため水分にトロミを入れて提供させて頂いてます。

食事を摂らなくなった時の対応

 グループホームに入って7年経ちましたが、一番の変化があったのは3年前で、食事を一切摂らなくなってしまったのです。日によって違いましたが、一切箸を持たず介助も嫌がり、ほとんど口を開けられませんでした。

 たまに介助で口の中に食べ物をいれても、噛んでそのまま吐き出しました。箸を持って、おかずをつまみ、違うお皿に移し替える事を繰り返していました。声をかけても、返答がなかったり、「俺はなー、船長でなー、今船の上にいるんだ」などの妄想が現れ、人格が変わる事も多々ありました。

 そんな中、終末の支援を主治医と相談していた中、最後に雰囲気だけでも思い出作りしよう、という事になり、本人が好きなお寿司屋さんへ行きました。すると、食べる事食べる事、30貫!さすがに、止めさせて頂きました(笑)ちょっと環境が変わるだけで、こんなにも違うのかとびっくりさせられました。

 そして、その経験をきっかけに職員が「刻みの食事だと食べ物だと認識できないのでは?」「箸の使い方がわからない時があるのでは?」「おかずがたくさんありすぎて混乱しているのでは?」など等の意見があがりました。

 そこで会議で職員による支援方法を統一するという事で、食事の時におかずを一品ずつ提供するという支援をさせて頂きました。味噌汁だけ提供して、食べ終わったらお椀を回収して、違うおかずを提供するという形です。すると、食べる時もたまにありますが、ほとんど食べない時もありました。

 これでは健康状態を保てないということで、食事の状態を見ながら臨機応変に支援方法を変えました。基本は刻み食ですが、ご飯や味噌汁・おかずを他の入居者様と同様お出しします。声のかけ方ですが、妄想に付き合うようにしています。例えば船乗りの妄想の時には「船の上ですので、食べられるときに食べましょう」という声をかけます。

 ただ、声をかけても召し上がらない時は、介助で召し上がって頂いたり、介助を拒否される時は時間をあけてから提供。

 箸の使い方がわからないような時は手で掴めるオニギリやミニパン、フライドポテト等を提供しました。そうする事で一日通して、一切ご飯を食べないという日はなくなりました。

現在の状態

 現在もグループホームで生活しております。要介護度4で基本車椅子生活です。認知症と統合失調症による妄想は今も続いています。

 食事が摂れるようになったCさんと一緒にお孫さんが経営されているお店に行き、そこでアイスクリームをご馳走になりました。そこで、アイスクリームを美味しそうに笑顔で食べるCさんの表情は今でも印象に残ってます。

 Cさんの対応を通して、職員目線で日々同じ事をするのではなく、その人のその時間に合った対応する事が必要だと感じました。

[参考記事]
「統合失調症と認知症を合併している人に対する対応の仕方」

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