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老老介護によるトイレ介助の難しさ。根気強く教えることが大切

 

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夫婦での老老介護の難点

 今何かと問題になっている老老介護。私の祖父母がまさにそれにあたり、夫婦二人暮らしで祖父が祖母の介護をしています。色々と問題や、心配もあるのですが、まず最初にぶち当たったのはトイレの問題でした。

 祖母は、認知症による記憶障害、見当識障害が主に進んでいますが、体には問題はなく、立ち座り、トイレは自分で行くことが出来ます。なので、祖父はトイレを祖母一人で行かせていました。夫婦とはいえ、男女。祖父は祖母のトイレ介助を直接行なう事を躊躇していました。

 結果、トイレに行っても水の流し方や、パットの処理の仕方が判らない祖母が、トイレに行くたびにパットをトイレに流して詰まらせてしまったり、大便をあちこちに擦り付けてしまったりと大変な事になっていることも少なくはありませんでした。

 また、自分でお尻を綺麗に拭くこともできません。お尻周りや陰部は汚れが残ったままなので、かぶれていつも痒そうにしています。

トイレ時の指導。根気強く繰り返すことが大切

 認知症だから分からない、何も出来ない、仕方がない…ある程度諦める必要は確かにあるかと思います。しかし、だからと言って認知症の高齢者の方々が、本当に何もできず、何も分からないわけではないのです。

 トイレに設置した大きめのゴミ箱の蓋に、「パットはここに捨てる」と大きくメモを書いて張っておきます。そして、ここに捨てるんだよ、ということを、トイレの度に、根気強く繰り返し教えました。二ヶ月ほど経った頃、祖母はこちらが何も言わなくても、トイレでパットをはずし、ゴミ箱に捨てる、という作業を行うようになっていました。

 時間がかかり、失敗を繰り返しながらも習慣化する事で認知症でも学習し、新しいことを覚えることができるのです。今ではパットを誤ってトイレに流してしまうことは殆ど無くなりました。

ポイントは焦らないこと、怒らないこと、見極めること

 小さな簡単なことも、認知症になってから覚えるのは易しいことではありません。介護者がまず余裕をもって焦らないことが大切です。また、出来なくても怒らないこと。出来なくて当然なのです。本人が少しずつでも自発的に動けるようになったら誉めてあげることも忘れてはいけません。

 勿論、それでもまだ一人でトイレに行くのは、不安な点があります。拭ききれなかった便の処理などは、やはり付き添ってサポートすることが必要です。夫婦での老老介護、特に男性が女性を介護するということはどうしても難しい、そういった問題は、出来る限り周囲で助力をする必要もあります。「片方は元気だから」と周りが楽観視してはいけないのです。実際に孫である私は遠方にすんでいる祖母の介護補助に毎月一週間程度のペースで通っています。

 夫婦で老老介護をされている方々には、「夫婦二人でやっていける」というプライドのようなものがあります。なので、中には手助けを望まない方もいらっしゃるかと思いますが、夫婦二人ではケアが行き届かない点は必ずあるでしょう。周りにいる人間は、そういったものを見極め、適時いつでも助けられるような環境作りが大事なのだと思います。家族、地域、施設が連携して、高齢者を孤立させない工夫が、この高齢化社会においてはますます必要不可欠なものになっていくでしょう。

 認知症であっても、高齢者は私たちの大先輩であるという敬意を念頭に置いて、誠意をもってサポートしていく気持ちが、お互い穏やかに関わっていくために大切なものなのかもしれません。

[参考記事]
「老老介護により認知症の妻から暴言を受け、自殺寸前の夫」

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