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音楽療法により、認知症の祖母に大きな変化

 

 祖母は、祖父亡くなってから2年後に認知症を発症し、田舎での一人暮らしができなくなり、4年前に東京の私たち夫婦が引き取りました。当初はこちらの生活に慣れず、とまどうことばかりでした。帰ると言って荷物を全部まとめてしまったり、ひとりに
すると寂しがって外に出てしまい、近所の方から「おばあちゃん徘徊してるよ。」と連絡が入ったり。

 また、お金のことが気になるらしく、何度もしつこく「何か稼げる仕事はないかね。」と聞いてきました。デイサービスには本人の意思を尊重してお財布を持たせていたのですが、送迎の方に1万円札を出して驚かれたこともありました。が、時とともに私も対処のしかたを覚え、だんだん慣れていきました。

 今回はその祖母に対して音楽療法を行った結果、大きな変化があったので、そのことについてお伝えします。

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音楽療法で脳を活性化させる?

 近所に一人暮らしのご老人がいらっしゃいました。祖母も含め、何か楽しんでもらえることはないかと考え、私は以前、子供ピアノ教室を開いておりましたので、私の伴奏で童謡、歌謡曲などを歌う、「歌の会」を月に2~3回開催しました。祖母は、認知症により短期記憶が弱く、やったことはすぐに忘れてしまいますが、その場はおおいに楽しんでいたようでした。

 そんな時に出会ったのが、タップネスヘルスケア協会が主催する「タップネス懐かしや音楽講座」でした。これはカナダの脳神経外科医の研究をもとにした、医学博士の推薦もある認知症予防法です。これは音楽療法の一種ですが、どのような方法なのかを説明します。

1、童謡、唱歌を歌いながら、指タップ運動をする。指タップ運動とは、言ってみれば「エアピアノ」のようなものです(エアギターみたいなものです)。CDにあわせて歌いながら、配布された歌詞の下に書いてある指番号(右手も左手も親指(1)から小指(5)まで1,2,3,4,5という番号が付いています)に従って順番に机を指でタップします。

 楽譜を見て、指番号のまま鍵盤を動かせば、曲も弾けますが、心得のない高齢者には無理なので、本物の鍵盤は必要ありません。鍵盤を使わないため音が出ないので、たとえ指を間違えたとしても大丈夫。また、認知症が進んだ方は、指番号を覚えることすらむずかしいので、そういう場合は指を1本づつリズムに合わせてタップできればいいのです。いや、リズムに合う必要もなく、合ったつもりでもいいのです。

 それすらむずかしい場合には、グーグーパーパータンタンタン(手拍子)など、もっと簡単に指を動かせるような方法を取ります。

 指のバラバラ運動をすることは、脳活性化に最良の方法だそうです。歌いながら指の運動を楽しくやることで、音楽療法をしているという感じにならないのがいいです。

2、その他にも「タップネス懐かしや音楽講座」では懐かしい歌謡曲を聴きながら、思い出話をします。

3、そして、クラシックの名曲を聴いて免疫力をアップすることを目指します。お酒にクラシック音楽を聴かせると発酵速度が速くなったり、水にクラシック音楽を聴かせた後に結晶化させると綺麗な形になるなど、一定の効果はあるのだと思います。

 2,3もCDが用意してあります。 前述のご高齢者の方々に試してみたところ、大変喜ばれました。デイサービス、老人介護施設などにも、順次ご紹介しているところです。

 音楽療法のおかげでしょうか、祖母は主治医から「認知症なのに空間認識能力が衰えないのが不思議だ。」と言われています。現に、80ピースくらいのジグソーパズルも、30分くらいで仕上げてしまうのです。これは今までになかったことなので、大きな変化と言えるでしょう。

 私もそのうち、誰かのお世話になる日がくるのでしょうがそれまで、高齢者に寄り添っていきたいと思っています。

[参考記事]
「入浴拒否をされる認知症の人への対応。音楽を活用した事例」

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