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認知症により、あればあるだけ食べてしまう人の対応について

 

 今回はお菓子のなどの食べ物を食べすぎてしまう認知症のEさんのお話をします。

 Eさんは夫婦で暮らしていましたが、2年前に旦那さんが他界され、一人暮らしになりました。その後、一人での生活が不安な為、Eさんは自宅を離れて娘が住んでいる家の傍に引っ越して、過ごすようになりました。

 そんな生活が1年続いた頃、Eさんの体に異変が起きました。「右手や腕が異常に痺れる」と電話でEさん本人から連絡をもらった娘は一緒に病院に行ったところ、脳梗塞と診断を受けました。

 早期発見により、麻痺等は見られなかったのですが、医師からは「再発の可能性は十分あり得る」と言われ、自宅へ戻りまた再発するような事があると心配という事で、介護付き有料老人ホームに入居する事になりました。

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ホームでの生活について

 Eさんは入居当時から認知症による症状が見られていました。特に記憶障害が強く見られ、同じ事を何度も話されたり、ほんの10分前の事も覚えていないような状態でした。ただ、身体機能は問題ない為、常に職員が声掛けをしながら対応すれば、ホームでの生活は問題ありませんでした。

 娘さんはよく面会に来られて、一緒に買い物などに行っていました。Eさんはホームの食事やオヤツだけではなかなか満足できないようで、週に2回程食べ物を娘さんと買いに行き、小腹が空いたときによく食べていました。

異変が起きた夜

 ある夜の事でした。夜勤者がEさんの巡回に行くと、ベッドの中で唸っている所を発見しました。職員が声を掛けた所、お腹を押さえてとても痛そうにしていました。

 そのまま管理者に連絡して、救急搬送となりました。原因は食あたりのようで、点滴を受けて帰ってきました。その間夜勤者がEさんの居室の片づけをしていたのですが、冷蔵庫の中は空っぽで、ごみ箱に大量の食べ物の袋が入っていたのです。

 買い物に行ったのはその日の日中でした。大体3日分くらいの食品を娘さんと買いに行っているのですが、それを全部食べてしまったのです。さらにタンスからも食べ物が出てきました。それは賞味期限が1ヶ月も過ぎているようなものです。

 職員から連絡があった娘さんも慌ててホームに来られたので、状況の説明を行いました。すると娘さんも最近食べ物が無くなるペースが速いと感じていたそうで、Eさんには注意をしていたそうです。しかしEさんは認知症ですので、なかなか理解してもらうのは難しく、食べた事を忘れてまた食べてしまうという行為を繰り返していたのです。

 また、タンスの中に期限切れのも伝えると、Eさんは昔から多少期限が切れていても「もったいない」と食べていたとの事でした。もしかしたら期限切れの物が見つかったら、(捨てられてしまう)という気持ちが(見つからないように隠す)行動に繋がったのかもしれないと、娘さんにも話をしました。

家族と職員が協力して管理をしていく事が大切

 今後の対応方法についても娘さんと検討していきました。まずあまり生ものは購入しないようにお願いしました。そしてホームに一度預けてもらうようにして、1日分ずつ渡すようにしました。

 そして職員も定期的に冷蔵庫の中を確認させてもらい、食べた物をチェックするようにしたのです。

 Eさんは一日分の食べ物を毎日もらえるので、特に不満を言う事もなく、お腹を壊すような事もなくなりました。

 認知症の方は、食べた事を忘れてしまうので、「お腹が空いていなくても食べてしまう」事を学んだ経験でした。ホームでの食事以外の物を食べる事がある場合は、しっかり確認する事が大切です。

[参考記事]
「自力で食事を食べない認知症の人への対応。席を変えるだけで大きく変化」

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