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レビー小体型認知症の症状について詳しく解説します

 

 レビー小体型認知症の原因は、レビー小体という異常タンパクが大脳皮質など脳の広範囲に蓄積して起こるとされています。アルツハイマー型認知症と比べると中心的な症状は異なります。

 アルツハイマー型認知症は、記憶障害や見当識障害を主としますが、レビー小体型認知症では、記憶障害などの出現の前に、幻覚やパーキンソン症状などの症状の変化が出現します。初期の頃は、記憶障害や見当識障害はほとんど目立ちません。

 レビー小体型認知症の症状は、
・認知機能の動揺
・幻覚
・パーキンソン症状
・レム睡眠行動障害
・抗精神病薬に対する過敏性
・自律神経障害

・抑うつ
があげられます。

 レビー小体型認知症の症状の中では「認知機能の動揺、幻覚、パーキンソン症状」が比較的起こりやすいです。パーキンソン症状では約半数の人が、幻覚に関してはそれよりも多く80%くらいの人たちに起こると言われています。これら3つの症状はレビー小体型認知症の中核症状であり、アルツハイマー型認知症でいえば記憶障害のような位置づけです。
※中核症状とは脳の器質的な変化により起こりやすい症状

 ひとつずつ症状をみていきましょう。

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認知機能の動揺

 覚醒状態が良い場合は、しっかり会話できるが、悪くなると会話が成り立たなくなったり、無気力となったりします。また、覚醒状態が悪い場合にはそれに伴って注意障害(集中できなくなる、気が散りやすくなるなど)や遂行機能障害(計画通りに物事を実行することが困難となる)も見られるようになります。

 これらの認知機能の変動が日によって、またはその日の内の数分から数時間ごとでも異なってきます。

幻視

 幻視は文字通り、普通の人が見えない物や人が見える現象です。レビー小体型認知症では幻視が多いです。特徴的なのは、本当にそこにあるようにリアルで具体的であることです。例えば、「そこに男の人がいる」だけではなく、「カーテンの横に青い服を着た男の人がいる」といったものです。

パーキンソン症状

 レビー小体型認知症のパーキンソン症状では、身体の動きが遅くなることと筋肉のこわばりがよくみられます。

 例えば、着替えの際に袖を通したり、頭を通したり一つ一つの動作が遅いため、時間がかかります。周りの人が手伝おうと、その人の手を動かそうとしても筋肉がこわばっているため、動かしにくくなります。

レム睡眠行動障害

 寝ている間に急に大きな声をあげたり、起き上がって壁を叩いたりします。脳が働いていて眠りが浅いレム睡眠の時に起こります。この時みている夢からこのような行動が起こりますが、恐ろしい夢や怖い夢である場合が多いようです。

 日中は覚醒の低下により昼寝をし、夜はレム睡眠行動障害により熟睡できず生活リズムが崩れがちになることも少なくありません。このレム睡眠行動障害は、幻視や身体症状の変化よりも前から出現することが多いです。

抗精神病薬に対する過敏性

 幻覚などの精神症状に対して使用する薬剤で、パーキンソン症状などの副作用が強く出現する可能性があります。今までは軽度であったパーキンソン症状が、副作用によって著しく強く出現し、転倒し骨折するまでになることもあります。

自律神経障害

 私たちの身体は、自律神経という神経が血圧や排泄など全身のコントロールをしています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、例えば交感神経が働けば血圧が上昇し、副交感神経が働けば血圧は下降します。このように、2つの神経でコントロールをしていますが、この2つのバランスが崩れると、全身に色々な症状が出現してしまいます。

 代表的なのが、起立性低血圧、全身の倦怠感、便秘、失禁などです。特によく出現するのは起立性低血圧で、急に立ち上がると血圧が低くなり倒れてしまいます。倒れることにより、骨折などの危険性もあるため注意が必要です。

抑うつ

 初期の頃に、気分がふさぎ込んだり、周りに無関心になったり自発性や意欲が低下することがあります。また、幻視やレム行動睡眠障害などが起こることによって、さらに不安になって抑うつ状態が悪化することもあるようです。

 以上にあげた症状はひとつずつ出現するわけではありません。パーキンソン症状にある小刻み歩行と自律神経障害のめまいで転倒しやすくなる、といったそれぞれの症状が絡み合っています。

 また、症状が多岐に渡るため、うつ病、パーキンソン病、せん妄など他の疾患に間違われることもしばしばありますので、慎重に診断を受ける必要があります。認知症の専門医に診てもらうのがベストです。

[参考記事]
「レビー小体型認知症による妄想や幻覚に対する対応」

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