身近にいた人のちょっとした変化、同じことばかり聞いてきたり、物忘れがひどかったり、または怒りっぽくなったり。もしかしてこれって認知症なのでは?
認知症の症状はご本人ではなく周囲の人から気付く変化が多くあります。そんな「もしかして?」の認知症の症状や対応についてお伝えします。
1. これって認知症?
「最近もの忘れがひどくて」
加齢に伴いそんな言葉をよく耳にします。
ですが、物忘れがひどい=認知症というわけではありません。年相応の物忘れもあります。例えば朝に食べた食事のことを忘れてしまうなどです。認知症の症状による記憶障害は、進行すると食べたこと自体を忘れてしまいます。
2、どう対応すればいい?
今までなかった症状の表れに家族は動揺されるかもしれません。しかし当の本人はいたって普通のこともあります。
家族が「さっき食べたじゃないの!」と言っても、本人は記憶がまったくないので「馬鹿にされている」などと悲観的になってしまう恐れがあります。けっして怒ったり叱ったりしないようにしましょう
ではどうすればよいでしょうか?初期の対応としてはまず認知症に詳しい病院を探しましょう。初期段階であれば適格な治療を受けることにより進行を遅らせることも可能になります。できれば認知症の認定医のいる病院にしましょう。早期発見早期治療が今後の流れを大きく変えるといっても過言ではありません
3、認知症の種類を知ろう
認知症はアルツハイマーだけではなく、様々な種類があります。
●アルツハイマー型認知症
認知症の半数以上を占めると言われています。また全般的に女性の割合が多くみられます。原因は脳内の特殊なたんぱく質によって神経細胞が壊れて死んでしまうことで起こります。
<症状>
・記憶障害:行動したこと自体を忘れるなど。例えば食べたことを忘れる
・判断能力の低下:料理の手順や掃除の手順が分からなくなります。
・見当識障害:今日の日付や自分がいる場所が分からなくなります。
他にも物盗られ妄想といって家族や身近な人に対して物が無くなった、盗られたと責めたりすることもあります。家の中や外へ出てあてもなくうろうろする徘徊の症状も出ることがあります。
●レビー小体型認知症
聞きなれない名前ですが、認知症の20%を占めます、レビー小体というたんぱく質が脳内に増えることにより起こります
<症状>
・初期段階では幻視(実際には実現しないもの)が見えます。たとえは廊下をアリがはっている、部屋の中に蛇がいるなどと実際にはないものが本人には見えています。
・時間帯などによってしっかりしている時と混乱している時があります、それを繰り返して進行していきます
・まだ自分は仕事をしている、自分は小さい子供だと思っていたり、家族をみて他人と入れ替わっていると言い出すこともあります
・パーキンソン病のように手が震えたり、筋肉がこわばることにより表情がなくなったりします。歩くときは足がでにくく小股歩きのようになることもあります。
・初期段階からなんとなく元気がない、悲観的なことばかり言い出すなどのうつ症状がみられることがあります。
●脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血など脳の病気により引き起こされる認知症です。
<症状>
・まだら認知症:意欲もなくぼんやりしている時と普通にできる時もあったりと1日の中で変化がみられます
・感情失禁:突然泣き出しり怒りだしたりします。こちらが何気に発した言葉に対して急に泣き出したり、機嫌よく笑っていると思って声をかけただけで急に怒りだしたりすることもあります
・その他:服の上下がわからなくなったり急に話をしようとしても言葉がでてこなかったりすることもあります。普段できていた歯磨きやお箸の持ち方を忘れるなどといった症状もあります
3、認知症と介護、どこに相談すればいい?
認知症と診断され症状も徐々に進行してくると、介護する家族の負担が大きくなってくるかと思います。どうしていいのかわからず介護する人が一人で抱えこまないようにすることも大切です。相談先はいろいろあるのでまずは相談からしてみることも大切です
・市町村の窓口:関係部署や機関の情報を得ることができます
・保険所、保健センター:相談に乗ってくれます
・地域包括支援センター:地域で暮らせるように在宅生活を続けていけるように情報を得ることができます。介護の相談にも乗ってくれます。
4.自宅の介護が難しくなってくる前に
施設への入所も考えてみましょう。いきなり入所することは難しいので相談窓口で情報を得ることも大切です。デイサービスといって日中だけそこで過ごして、夕方には自宅に戻って過ごすという形もあります。
老人ホームは以下のように様々な形態があります。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・認知症対型共同生活介護(グループホーム)
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)
まとめ
大事な人が認知症になった、それだけで今までの生活が一変してしまうのではないかと不安が大きくなってしまうかもしれません。認知症は誰しも起こりうる可能性のある病気です。
大切なことはひとりで家族で抱え込まず病院、他機関に相談し正確な情報を得ることです。介護する側が元気であってこそ介護される側も安心できるのではないでしょうか。これからの高齢化社会に向けて誰しもが現実的なこととして考えていく必要があると思います。