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昼夜問わずに帰宅願望がある認知症の人への対応の事例

 

 この記事では、昼夜問わずに帰宅願望がある特別養護老人ホームに入居している利用者に対する対応事例を紹介します。

 Aさん(86)は、アルツハイマー型の認知症を持った女性です。結婚して子供二人を授かりましたが、二人共亡くなられ、夫と二人で暮らしていましたが、ご主人も亡くなられ、身寄りは妹さん夫妻だけでした。

 身体は、車いす移動で半介助でした。職員との会話はできますが、自分から他者へコミュニケーションを図ろうとはしないので孤立していました。ただ意欲的だったのが、週二日のリハビリです。リハビリの日ではないのに自らリハビリ室まで出向く事も多々あります。

 また「身内が亡くなったから、葬式に行かないといけないから帰ります」などと認知症による妄想と帰宅願望が合わさったような話を良くしています。最初は、このような帰宅願望は時々でしたが、2、3年後には昼夜問わずに帰宅願望があり、その時には妹さんと電話で話してもらったり、面会に来てもらったりとしました。しかし、帰宅願望はエスカレートして常に職員が話を聞いたり、付き添って庭を散歩したりして対応していました。

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帰宅願望がある時の対応

 昼は、介護職員が1ユニットに必ず見守り役でいた為、Aさんの帰宅願望が強く、外へ出る際は、介護職員が一人付き添い、本人が行きたい所へ車いすを自操するのを見守る対応をしていました。認知症があって帰宅願望が強い利用者は、目が離せません。まずは、帰宅願望があり外へ出る際は、職員が付き添い本人が落ち着くまで見守る必要があります。自宅へ帰りたい気持ちは当たり前と言う認識でいることが大切です。

 車いすを自操している際、本人が納得して施設内に入るまで何処へ行きたいのかなどの話をしたり、本人の表情や雰囲気を見て話す雰囲気ではない場合には少し遠目で見守りをしたりと工夫していました。

 その他の対応としてはAさんの要求に応じて、看護職員や相談員やリハビリ職員が連携を取って対応していました。帰宅願望が出た時には好きなリハビリに誘ったりして、意識を帰宅願望から逸らすようにしていました。リハビリをすると活動量が増えるので、夜は比較的安定して寝ていただくことができました。

 私が勤めている施設は、ユニット型で利用者の人数も多い分、職員の人数も多かった為、他職種との連携も取れて、こういった対応が出来たのかと思います。また人には相性があるため、必要によっては他職員が替わって対応することで落ち着いたりする事もあります。

 夜間の帰宅願望は、昼間のように他職種の連携が取れるわけではありません。看護職員や介護職員しかいないのです。ですから、出来るだけ日中に活動を増やし、夜には、就寝してもらうのがベストでした。それでも起きてこられる際には、出来るだけ職員の目が届く場所へ移動してもらいお茶やお菓子等を提供して、話をするなどの対応をしていました。お話をしてくれる時は、Aさんの若い頃の話や、何の仕事をしていた等です。昔の話は割と覚えていました。
 
 職員の努力もあり、少しずつではありますが、以前より帰宅願望は減ってきています。認知症がある、ないに関わらず、家に帰りたい気持ちは当然という気持ちは忘れないように心がけています。

[参考記事]
「帰宅願望の強い認知症の人への対応で大事なのは言葉かけ」

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