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認知症による収集癖への対応。ティッシュをベッドに集めてしまう

 

 Sさんは介護が必要となった旦那さんと二人暮らしをしていました。Sさん自身も介護サービスを利用しながら、旦那さんを介護している状態でした。

 しかし介護疲れからなのか脳出血を患い、Sさんは入院する事になってしまいました。発見が早かったおかげか、強い麻痺も残らず、リハビリ病院に転院し、日々リハビリを続けていましたが、記憶障害などの認知症の症状が出ていた為、自宅には戻らず、介護付き有料老人ホームに入居する事になりました。

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入居後は

 Sさんは軽度の認知症だった為、日課のスケジュールなどをお渡ししておけば、それを見てある程度理解できる方でした。食事や入浴の時間、機能訓練やレクリエーションの時間も自分で確認しながら対応していました。

 時々状況の把握ができなくなったり、不穏になってしまう事もありましたが、都度声掛けをしていけば、問題ありませんでした。

収集癖が見られるようになる

 ある日を境に居室に行くと、ベッドの上にトイレットペーパーやティッシュ、朝食に出たパンの食べかけ等が目立つようになりました。

 特にトイレットペーパーの消費が早く、時にはその日にトイレに補充したトイレットペーパーがそのまま無くなり、「トイレットペーパーがないから補充してほしい」と話されるようになりました。

 職員が確認しに行くと、トイレにトイレットペーパーはなく、Sさんと一緒に探していると、ベッドの中から出てきたのです。

 「これは違うの、ここで必要だから」と、話されるので、Sさんが入浴で居室からいなくなった後にベッドを整理し、トイレにトイレットペーパーをセットして対応する事にしました。

勝手に片づけてはダメ

 入浴から戻られたSさんは興奮して職員に「泥棒が入った」「全部盗まれた」と、食いかかりました。いつものように話を聞いてなだめようとしてもまったく聞き入れませんでした。

 「娘を呼んで」「警察に電話してちょうだい」等、どんどんエスカレートしていく為、娘さんに連絡を入れて、来て頂く事になりました。

収集癖に対する対応方法

 近くに住んでいた為、すぐに娘さんは来てくれました。事情を説明し、落ち着くまで娘さんが対応をしてくれたのです。

 その後娘さんと相談し、対応方法について検討していきましたが、娘さんも初めての事でびっくりしている様子でした。

 今回ここまでSさんが興奮したのは、Sさんがいない間に片づけをしたことに問題がありました。

 その為今後はSさんにしっかり話をして、片付ける事にしました。それでもSさんは強い拒否が見られましたが、根気強く一つ一つ事情を説明して片づけをしていきました。するとSさんは渋々ながら一緒に片づけてくれ、ベッドの上はようやくきれいになりました。

 しかしまた2,3日するとベッドの上にティッシュやトイレットペーパーが置いてある光景が見られています。もちろん一緒に片づけた事は覚えていない為、再度一緒に片づける事になりました。

 どうしても収集癖がある為、今回は集めるものを入れる箱を用意し、「トイレットペーパーやティッシュはこちらに入れておきましょう」と書いておくようにしました。そうしたところ、トイレットペーパーやティッシュを置いてくれるようになりました。

 また、日中はベッドをたたんで置いておき、ベッドに置く事が出来ないような環境づくりも行いました。そうすると少しずつSさん自身でもベッドをたたむ様子が見られるようになりました。

 収集癖がある認知症の方には、その収集場所を固定して置いておく事が必要だと感じた体験でした。

[参考記事]
「紙の収集癖がある認知症の女性への対応。お尻を拭いた紙も収集」

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